夏野の驚異の部屋

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【オススメ本】本紹介&感想 『謎のチェス指し人形「ターク」』

どうも皆さんこんにちは。

篠虫です。

 

 

今回紹介するのは、世にも不可思議な人形の本です。

 

 

謎のチェス指し人形「ターク」

 

 

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時は18世紀中ごろのオーストリア=ハンガリー。

 

ここでその後100年以上に渡って多くの人々を惑わせた一体の人形を作った男がいた。

 

彼の名前はヴォルフガング・フォン・ケンペレン、物理学や機械学などに通じる博学な宮廷お抱えの人物だ。

 

彼の名を一躍有名にしたのが、チェスを指す人形ターク」だった。

 

 

それは、東洋人風の出で立ちで椅子に座り、チェス盤の乗った机に座っていた。

 

机の中は正面の扉があけられると大部分が空洞になっており、その左横の小さめの戸を開けると中にはぎっしりと歯車が詰まった複雑な機械が見えた。

 

 

この人形はいわゆるオートマトン、自動人形と呼ばれこの時代にヨーロッパで注目されていたものだった。

 

機械仕掛けの体をもった人や動物が、ねじを巻けば動きまわる、日本のからくり人形にも近いものだ。

 

しかし、オートマトンの中には、ジャックド・ヴォーカソン餌を食べ飲み込み排泄する機械アヒルアンリ=ルイ・ジャケ=ドローハープシコード演奏人形など、非常に高い技術力で制作されたオートマトンが少なくなかった。

 

 

だが、タークは他と比較にならないほど優れていた。

 

挑戦者と向かい合って左手を動かし、迷うことなく駒を移動させる。

チェスをたしなむ上級者の手を素早い判断で追い込み打ち負かしていった。

さらに、相手がルール上間違った駒の動きをすれば手を動かし駒の位置を元に戻したりもするのだ!

 

人々はタークとケンペレンに惜しみない称賛を送った。

 

 

その一方で、タークが登場した初期からある疑惑があった。

 

「タークは本当に人形なのだろうか?」

 

様々な仮説が生まれ、誰もが真実を解き明かそうとした。

しかしどの説も決定打に欠き、この謎はケンペレンの死後にも続いた。

 

タークは85年にも渡る活躍の中でベンジャミン・フランクリン、エカテリーナ大帝、ナポレオン・ボナパルト、チャールズ・バベッジ・エドガー・アラン・ポーなど歴史的な人物と接点を持つことになる。

 

 

 

果たして「ターク」は何者なのか。

 

世界初の思考を持ち自立する人形なのか、それとも巧妙な仕掛けで構築された嘘か。

 

 

 

 

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一体の人形から始まるこの本。

 

以前から興味があって手に取りたかったので、買ったときはすぐに終わりまで読み切りました(;'∀')

 

一言でいえば、かなり面白かったです!!

 

タークをめぐる人間模様も、タークの謎も読みやすく書かれていて、わかりやすかったです。

 

そして、このオートマトンが現在の人工知能やロボットにまで繋がってくる話の構成が素晴らしい。

 

近年ようやく機械=AIがチェスや囲碁、将棋などゲームの分野で、人間に対し勝利を収めることが増えてきました。

 

 

これは人類にとっては悔しいことでもある一方で、かつては途方もなかった夢物語がようやく現実化してきていることの表れだと思います。

 

 

戦前の時点で、そして戦後の宇宙開発時代の時点で「数十年後には人間と同等かそれを超える機械が開発されるだろう」という目測が、科学者だけでなく一般社会にも広く信じられてきました。

それほどまでに当時の科学力の進歩は凄まじく、小説や映画でも頻繁にSF作品が登場しては人々の期待を膨らませました。

 

 

とりわけ『2001年宇宙の旅』はあまりにも有名であり金字塔的作品と言われていますよね。

作中に登場する、宇宙船を統括し任務のため乗組員を殺害することを計画する超高性能AI搭載コンピュータ「HAL 9000」は時代をはるかに先取りした原作者の先見の明を感じます。

2001年宇宙の旅 (字幕版)

 

 

しかし、科学技術が向上し新たな世界が見えるようになると、人はそのあまりにも広く長い道のりに現実を見るようになりました。

 

映画や小説で語られるような機械を作るのはまだ無理なんだ、と。

 

そして、機械がチェスで人に初勝利を収めるまで『2001年宇宙の旅』から29年かかりました。

 

 

いまやAIは身近な家電の中に入り込み、我々の生活をより豊かなものにしてくれています。

人の声を聴き分けたり、膨大なデータの中から取捨選択をしたり、経験を積むことで思考レベルを上げたり、線画に色を付けたり、小説を書いたり……

 

 

それでも現状、AIができるのはあらかじめ人に設定された決められて範囲の事柄だけです。

 

絵もかけて小説もかけてチェスも将棋も囲碁も打てて人と会話もできる、人間と変わらないパフォーマンスを1体のAIでは行えません。

 

これができるようになるまで、あとどのくらいかかるでしょうか?

 

”数十年以内には……”

 

 

なんて、またまた言われてますが、ひょっとするとそれよりずっと早いのかも。

 

 

 

時代の最先端に繋がる原点。

 

チェス指し人形タークについて知りたければ、ぜひ読んでみてください!!

 

 

 

それではまた!

( ´Д`)ノ~バイバイ