夏野の驚異の部屋

様々なジャンルを自由気ままに書いていくフリースタイルブログ

【オススメ本】今年読んだ本紹介&感想『眠れない一族 食人の痕跡と殺人タンパク質の謎』

どうも皆さんこんにちは。

篠虫です。

 

 

今回は、医学系の本について書いていこうと思います。

 

 

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『眠れない一族 食人の痕跡と殺人タンパク質の謎』

著:ダニエル・T・マックス

訳:柴田裕之

出版社:紀伊國屋書店

初版:2007年12月22日

ページ数:324p

 

 

なかなかにインパクトの強いタイトルです。

 

「食人」に「殺人タンパク質」という、現代で滅多に聞くことがないワードにまんまと引っかかって買ってしまいました(~_~;)

 

 

皆さんは「狂牛病」をご存じですか?

 

今から16年も前の2003年、アメリカでBSE(牛海綿状脳症)=狂牛病が蔓延し、一時的に日本への米産牛肉の輸入が禁止され、とりわけ吉野家で牛丼が消えたことが話題になりました。

ja.wikipedia.org

 

 

この本は、タイトル通り、「眠れない一族」の話から始まります。

 

ヴェネチアのある高貴な貴族出身の一族は、謎の不眠症に苦しんでいた。この病気は中年期に発症し、異常発汗や頭部硬直、瞳孔収縮を引き起こし、やがて患者は不眠状態に陥って死んでしまう。*1

 

聞くだけで恐ろしく、不思議な病気です。

 

この一族の病気は現代まで数世紀にわたって、一族内の誰かに必ず発症します。

 

一族の物語を軸にして展開する内容は、羊版狂牛病のスクレイピー、パプアニューギニアの部族に発症するクール―病、そしてBSE。

 

 

世界中の家畜と人に被害を与えた病気。

 

これら全てが、たった一つのタンパク質によって引き起こされたというのです。

 

それが「プリオン」です。

ja.wikipedia.org

 

そして、プリオンが病気になる原因に太古の人類の祖先が行なっていた、「食人」が関係している・・・。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

素人にはやや難解

 

前回紹介した「生物毒」の本と比べると、病気の説明・プリオンなどタンパク質の話は理解するのに時間がかかりました。

 

文章が特別難しく書いてあるわけではないので、単に私の知識レベルが、生物と医学で差があるせいかもしれませんが、恐らく一般の人が読むには少し苦労があると思います。

 

 

また、挿絵や図版は一切無いため、想像力だけで理解しなくてはいけないのも、読みにくかった理由かも知れません。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

詳しい関係者の描写

 

ヴェネチアの眠れない一族をはじめ、クール―病を研究したガイジュシェック、続いてその正体を追ったプルジナ―など、この本には多くの病気に関わった人物の話が登場します。

 

人と人との関係性や小話、人となりを示す各エピソードを読めるのは、物語を深く理解するのを助ける面もあります。

 

 

ガイジュシェックは、専門医ではありませんでしたがパプアニューギニアの研究所を訪れ、熱心にクールーの研究に没頭しました。

 

やがて、その原因を遅れて発症するウイルスだと確信し、「遅発性ウイルス」と名付けました。

 

そんな彼は、原住民の少年達に性的な接触や行いをさせたとして逮捕されたこともありました。

 

 

 

と言った、話の本線とは外れたポイントが随所で語られるため、プリオンを中心とした群像劇的な本でもあります。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

病気の脅威

 

この本は総じて、「プリオン」を原因とする人と家畜の病気に対して奮闘する人々の物語です。

 

 

当時の学者にとって、生命でもなくウイルスでもないタンパク質が”感染”・”増殖”を繰り返し、身体を壊していくなど想像すらできませんでした。

 

それが発見された後でさえ、すぐには受け入れられず、治療法も見つからないまま時だけが過ぎていくのは、読んでいて歯がゆかったです。

 

 

現代医学の限界、科学が解決できないことがあると嫌でも突きつけられます。

 

眠れない一族たちは筆者が取材に訪れるまで、自分たちの致死性家族性不眠症が

タンパク質が原因でとすら知らなかったのです。

 

 

本の出版は2007年ですが、プリオン病の治療法は未だ研究の真っ最中だそうです。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

総評・感想

 

いつのまにやら重い雰囲気になってしまいましたが・・・。

 

読む価値はあったと思います。私自身、BSE問題をちゃんと知ったのはずいぶん年数を経たあとでしたし、その原因がタンパク質だとは知りませんでした。

 

そして同様の症状・原因の病気が人にも別の動物にもあることも知りませんでした。

 

無知ほど怖いものはありません。

 

人は、自分は蚊帳の外にいる、そんなイメージで災害や病気などと距離を置いて向き合ってしまいます。

 

でも、そうした問題の正面には必ず立ち向かっている、向かわなきゃいけない人がいるんだと自覚し直しました。

 

 

シンプルな知的好奇心から手に取った本でしたが、これまで触れてこなかった世界の一端に触れ、私の世界が広がったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

さて、いかがだったでしょうか?

 

いつになく真面目な感じで書いて、慣れないことはしない方がいい気もしました(^_^;)

 

まあたまにはね。色々やっていかなきゃいけません。

 

こんな感じでまだまだ紹介していきます!

 

 

それではまた!

(。・_・)ノ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:『眠れない一族 食人の痕跡と殺人タンパク質の謎』カバー折り込み文より